Description
着物の種類について
豪華で華やかな模様をまるで一枚の絵かのように生地全体に施した訪問着の着物です。
訪問着とは…
着物の生地全体に華麗な模様が描かれている和服のことを指します。準礼装として着用される着物の一種で、色留袖の次に格式が高いとされています。大正時代に女性の社交の場が広がったことにより、格式張らずに華やかさのある着物が販売されるようになりましたが、昭和時代に入ってから「訪問着」と呼ぶようになりました。昭和初期までは三つ紋か一つ紋を染め抜きまたは縫い紋で付けていましたが、現在ではそのほとんどが無紋もしくは一つ紋で、袖丈は振袖の着物より短いものになっています。洋服ではイブニングドレスなどのビジティングドレスに相当しますが、既婚・未婚に関係なく主に冠婚祭・社交着として着用されます。
訪問着の特徴は…
絵羽模様(えばもよう)と呼ばれる「一枚の絵」のように見える豪華な模様が最大の特徴です。縫い目に関係なく模様が描かれており、全体的に映えるように計算した意匠で装飾されます。生地には縮緬(ちりめん)や綸子(りんず)、夏用には絽(ろ)などの高価な素材が使用されます。生地を採寸した通りに裁断してから仮縫いし、一度仮の着物として仕立てられますが、その時点で不自然な外見にならないように模様を付け、再び解いてから実際の染色を行います。
着物の柄について
①巻物
巻物の用紙を一定の幅で折りたたんだ折本や冊子が主流となる以前は、絵巻物や経典などとして長く利用されてきました。また、巻いた絹の反物を文様化したものもあり、そちらは巻絹といいます。
②扇
高温多湿の日本で生まれた扇は、広げると末広がりになることから、繁栄、開運の吉兆とされています。形状のイメージから、またの名を「末広」といいます。
また、仰ぐことは煽り立ててさとすことを意味し、神霊を呼び起こして物の霊を揺り動かす力を備えた道具ともされました。このように服を招いたり、邪悪を避ける扇は、、神楽や、能楽、田楽などの芸能に欠かせないものとなり、扇による所作は現代にも伝えられています。
③吹き寄せ
いろいろなものを寄せ集めた様を吹き寄せといい、風景文様のひとつとして多種多様に用いられてきました。
きものの場合は、様々な木の葉や花が風に吹かれて、寄せ集まったところを文様化したものです。寄せ集められた植物は、紅葉、松葉、松毬、銀杏など秋のものに限られましたが、現代は、着る機会が多いようにと笹や菊、桜なども用いられます。